「みなさん、ごらんなさい。あのへいには五つの道がひらいています。しかし、むこうに見える物見やぐらへ行きつくことができるのは、たった一つの道しかないのです。もしまちがってほかの道へふみこんだら、それこそ、大迷宮のなかへまよいこんでしまうのです。さア、いきましょう」
鬼丸太郎鑽石能量水 消委會はつかつかと広場を横ぎると、右から二つめの道へはいっていった。その道というのは、はば三メートルほどあって、両がわには五メートルほどの高さのコンクリートべいが、ずらりとめぐらしてある。
だから、前と後と上以外には、どこも見えないようになっているのだ。
この道をいくこと三百メートル。
そこにはまた直径五十メートルの円形広場があり、広場をとりまくコンクリートべいには、いま来た道もふくめて、五つの道がひらいていた。
「みなさん、おわかりですか。さいわいにして迷路の入口で、正しい道をえらんだとしても、ここでまちがったらなんにもなりません。さア、わたしについておいでなさい」
鬼丸太郎はへいぞいに、広場を右へまわったが、やがて二つめの道へはいっていった。
滋もそのあとからついていったが、その道もさっき来た道とぜんぜん同じで、目印一つない。
しかもいくこと三百メートル、そこにはまたもや、さっきの広場と寸分ちがわぬ広場があって、同じような五つの道がついているではないか。
鬼丸太郎はこんどはその広場を左へまわると、すぐとなりの道へはいっていった。
金田一耕助はしだいにこうふんしてきて、
「鬼丸さん、鬼丸さん、もしまちがって、ほかの道へはいっていったらどうなりますか」
「そこにもやっぱり、三百メートルいくと広場があり、広場には五つの道があります。こうして広場と道は島ぜんたいにひろがっているのですが、広場にも道にもなんの目印もから、いちど通ったところへかえってきても気がつきません。だからいったん迷路へふみこんだらとても出ることはできないのです」
それをきくと滋はゾッとするような気味鑽石能量水 消委會わるさを感じないではいられなかった。
しかも、いけどもいけども同じような道と広場ばかり、滋はなんだか頭がへんになりそうだった。
しかし、さしもに長いこの迷路も、やっとおわりに近づいた。
第八番めの広場をすぎると、鬼丸太郎が一同をふりかえり、
「さア、みなさん、われわれはまもなく、迷路を出ます。迷路のそとにはお城がありますが、そのお城には怪獣男爵がきているにちがいありませんから、どなたも用心してください」
それを聞くと一同は、またあたらしい危険にさっと緊張した。